ダンスはめちゃくちゃ派生している

先日レッスン終わりのkaito先生に「HIPHOPとはなんですか」とほんの軽い気持ちできいたところ…その歴史とジャンルの派生について一から細かく教えていただいた。全く知らない世界のことなので、すごく興味深く、また様々な歴史背景があったことを知った。

もとより筆者はHIPHOPは数あるダンスのうちの一つだと思っていたが、どうやら違うようだ。

なんでも、こうした歴史的背景を知ることはプロのダンサーとして、とても大切なことなんだとkaito先生。何をきいても嫌な顔ひとつせずに、納得がいくまで質問にも応えてくれるところにkaito先生のお人柄の良さがあらわれている。お話しいただいた内容をせっかくなので、皆様にもお伝えするべくまとめてみようと思う。

HIPHOPはダンスではなく文化

先ほど筆者も勘違いしていたように、よくHIPHOPは踊りの種類として捉えられがちだが、お察しの通りジャンルとしての呼称ではなく文化そのものを表す言葉であり、HIPHOP文化全ての総称という。

もともと、ダンスとして一番最初にできたのはHIPHOPの中でも”ブレイクダンス”と呼ばれるジャンルなんだそう。これは黒人文化におけるギャングの抗争をやめるために始まったそうで、このブレイクダンスにはラップとの密接な関係があるというのだ。

kaito先生曰く、すべては『ラブアンドピースから生まれた』という。

さて、まずブレイクダンスから紐解いていく必要がある。

ブレイクダンスの語源”ブレイク”には直訳すれば「壊す」という意味があり、ブレイクダンスに用いられる楽曲には本来踊りに用いられる”ソウルミュージック”と呼ばれるものをスクラッチしリミックスすることをブレイクビーツ(=音を壊す)ことでダンス楽曲として成立させているのだという。

この繋ぎ合わせたり、歪ませたりしてゴチャ混ぜになった楽曲の上に”ラップ”を乗せ、これに対して踊りをつけたものがブレイクダンスというわけで、つまるところラッパーの曲で踊り始めたのがヒップホップダンスというわけだ。まさか、ラップと繋がるとは思ってもみなかった。ちなみに、ブレイクダンスはB-Boyingとも呼ぶことがあり、界隈ではブレイクダンスを踊る人のことをB-Boyと呼ぶそうだ。

この楽曲の構成ジャンルとしては大きくわけてオールド、ミドル、ニュースクールの3つのカテゴリーに分けられるそうだ。

オールドスクールは初期のパターンで、読んで字の如く、一番初期に当たる音に合わせて動きをつけるダンスである。ミドルはそこから少し振り付けが多く加わったものだそうだ。そして、海外で発祥しそれをヒップホップに取り入れたスワッグ(Swag)=ドギーやニュージャックスウィング、スタイルヒップホップなどと呼ばれる新しい踊りスタイルを取り入れたものがニュースクールというそうだ。

カウント方式の違い

少し本題とは逸れるがダンスとしても音楽的にも欠かせない要素であるカウント方式の違いと特徴についても教えてもらった。これはヒップホップジャンルに限ったことではないが、ダンスを踊る際には、そのカウントの仕方によって種類が分けられているという。

例えば、我々が8ビートと呼んでいる(1、2、3、4、5、6、7、8)と数えるのはダンス界隈では”オンカウント”または”オンビート”と呼ばれている。対し、8ビートをさらに割って細分化したもの(1,and、2,and)をエン(And)カウントと呼び、「エンダー」とも呼ばれているそうだ。・・・音楽的に言うなれば差し詰め16ビートということだろうか。

これを先述した楽曲の構成ジャンルに当てはめて考えると、”オールド”は『オンカウント』となり、それ以降…つまり、”ミドル”以降は『エンカウント』で踊るものが一般的なんだそうだ。

kaito先生曰く、最近ではライトフィート(FEET)と呼ばれる新しいジャンルも誕生しているようだが、成熟した文化や、市場が現時点では存在しないためこちらについては機会があれば改めて紹介させていただこうと思う。

”くるくる回りながら踊るのがブレイクダンス”であると短絡的に思いこまれがちだが、決してそうではない、とkaito先生。ブレイクダンスはさらに【ロック】と【ポップ】と【ブレイク】の3つに分けられ、これらを総称してブレイクダンスと呼ぶそうだ。読者もそろそろ頭がパンクしそうな頃だろうとは思うが、kaito先生の熱意のこもった力説は止まらない。

ヒップホップ文化から派生した街中で踊るダンスをストリートダンスというが、ここにも、ロックダンスとソウルダンスという二分化されたジャンルが存在し兄弟のような位置関係だそう。もはや細分化されすぎて何が何やらよくわからないというのが正直なところだが…。

ヒップホップは文化であるということを書いたが、このヒップホップにはブレイクダンスやラップを含めた他にもDJグラフィティアートと呼ばれる要素がありヒップホップの4大要素と呼ばれている。グラフィティアートというとパッと思いつかないかもしれないが、よく高架下や壁にスプレーやフェルトペンなどでペイント描きしてある図像のことだ。誰しも一度は目にしたことがあるだろうと思う。あぁ、あれもヒップホップだったのか。

ロックもソウルもリズムのとりかたは同じで、それぞれの文化のいいところを取り合っているという。簡単にその違いを説明してもらった。どうやら、ソウルダンスはステップの動き(足の動き)が多く、ロックダンスは上半身の動きが多いという。

日本独自のダンス文化

それはそうと、日本で生まれたダンスの文化はご存知だろうか。

夏に踊る”盆踊り”は日本人の文化に根付いた独自のダンスジャンルである。盆踊りのポップスとの明確な違いにカウントの違いがあるという。盆踊りのカウントは3拍子であり、これはポップスの8ビート(オンカウント)とは明らかに異なる。

この文化の違いならぬ、カウント方式の違いこそが「日本人が遺伝子レベルでダンスが踊れない理由」だとkaito先生はいう。これにはちょっと苦笑いだ。

とはいえ、ダンス文化というと海外発祥のものばかりに目が向きがちで、自国のダンス文化がどうだなんて考えを寄せたこともなかったので、非常に興味深かった。ヒップホップを網羅しつつも、日本古来から伝わる舞踊にも目を向け分析するkaito先生は一体何者なのだろうか。

バレエがダンスのすべての原点!?

ちなみに、今日に伝わるいわゆる『ダンス』の基礎の基礎となっているのは概ねバレエだと言えるそうだ。そして、バレエをダンスと化したものがコンテンポラリーであり、これはバレエ発祥の派生文化となるようだ。つまり、いずれにしてもバレエが原点ということに違いなさそうだ。

全集中の呼吸で言うところの、日の呼吸であり、そこから、水の呼吸や雷の呼吸が派生しているという感じだろうか。いや、違うか。

ちなみに、このバレエの基礎を応用してポップスで踊り、コンテンポラリーよりもさらにダンスチックになっているのがジャズダンスらしい。

とにかく、派生に派生を重ねさまざまなダンスジャンルが生まれていることを知った。プラスカルチャーは、多種多様なダンスジャンルを取り扱っているが、それぞれに歴史があり、また互いに繋がりあって相互作用的に成長を遂げていたということを知り、感慨深く思った。

今後はスタッフとしても、こうしたダンスの歴史や変遷を踏まえながら、発信していけるように努めたいと改めて感じた次第だ。

今回お話を聞かせてくれたkaito先生のK-POPクラス、HIPHOPプライベートレッスンでは体験レッスンを随時受け付けているので、興味を持った方はぜひ当校まで足を運んでみてほしい。きっと、そのお人柄の良さと直向きにダンスにかける想い、情熱に圧倒されることだろう。

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